【不育症】不育症とは
不育症について、私が通院している病院の情報をもとにわかりやすくまとめてみました。
不妊症、不育症については、まだ研究段階の部分も多く、検査や治療の方法は病院によって様々ですので、1例として見ていただけたらと思います。
不育症、習慣流産とは
妊娠しても、お腹の中で赤ちゃんが育たずに、流産や死産となってしまう場合があります。
流産は全妊娠の15%に生じ、初期流産の原因の60〜70%は胎児の染色体異常(避けられない流産)によるものとされています。
原因としては卵子や精子の形成過程や受精成立以降に偶発的にに生じる染色体異常がほとんどで、この場合流産は防ぐことはできません。
流産や死産を2回以上繰り返した場合を「不育症」といいます。
その中でも妊娠22週未満で3回以上流産を繰り返す場合を「習慣流産」と呼びます。
不育症の原因
内分泌異常
内分泌異常の多くは、「高プロラクチン血症」と「甲状腺機能低下症」、卵巣の「黄体機能不全」です。
・プロラクチンが高いと卵巣機能を抑制したり、免疫細胞を刺激する働きを持っており、不妊症、不育症の原因となります。
・甲状腺機能が低下し甲状腺ホルモンが不足すると、甲状腺刺激ホルモン(TSH)とプロラクチンの上昇を引き起こします。プロラクチンが上昇すると、上記記載の通りプロラクチン自体の排卵抑制作用、着床阻害作用によって不妊症、不育症の原因となります。また、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高いと、子宮内膜ナチュラルキラー(NK)細胞が活性化され、胎児を排除する方向に働くという論文もあります。そのため、妊娠を希望される場合は、TSH<2.5でコントロールすることが推奨されています。
・黄体機能不全により黄体ホルモンの分泌が不足していると、子宮内膜の形成が悪くなるため、受精卵が着床しにくく、不妊の原因になります。さらに、子宮の収縮を抑える黄体ホルモンが少ないため、流産しやすくなることもあります。
抗リン脂質抗体、抗PE抗体
自己免疫の異常で血栓がつくられやすくなるため、流産につながることが認められています。
同種(拒絶)免疫異常
お腹の中の赤ちゃんや受精卵の半分は、父親由来の組織です。妊娠には、赤ちゃんの父親由来の組織を異物と見なすことを阻止し、赤ちゃんを体内で育てるためのメカニズムがありますが、これがうまく機能しないことで、流産にいたると考えられます。
ストレス
ストレスを感じ、緊張すると、アドレナリンが上昇し、毛細血管が収縮、血行が悪くなります。妊娠初期のこの状態は、胎児への栄養の運搬がうまくいかなくなり、流産につながってしまいます。また、ホルモン分泌や同種(拒絶)免疫系にも影響を及ぼしたり、自律神経の変調を招くため、不妊症、不育症の原因となります。
染色体異常
流産を引き起こす「染色体異常」には、偶然的に胎児の染色体に異常が起こるものと遺伝的なものがあります。遺伝的なものとは、両親のいずれかの染色体異常が、一定の割合で受精卵に引き継がれる場合を指します。この場合の流産率は約50%と言われています。
不育症の検査 ※私が実際に行った検査を青色で示しています。
同種(拒絶)免疫異常
採血:NK細胞活性、Th1/Th2
子宮形態異常
子宮卵管造影検査、子宮鏡検査、MRI検査
染色体異常
採血:流産絨毛の染色体検査、夫婦の染色体検査